中野信子「努力不要論」

 

 

●意志力の強い人と弱い人の差というのは、「ヒトという生き物はそもそも意志が弱

い」ということを知っているか知らないかという差です。自分の行動を観察する能力、

そしてブレーキを掛ける能力になるので、前頭全皮質の機能が高いか低いかという違い

になってきます。

 

 

●手っ取り早く自分を変えたいと思ったら、理想とする人物の振る舞いを、徹底的に細

部にいたるまで真似していくというのが一番の近道です。

 

 

●意志力が強く、将来的なことまで考えて選択していける個体が利得を大きくするのに

一方的に有利であれば、数世代も経てばそういう個体ばっかりになっていくはずです

が、現実を見てみるとどうも違う。これは、意志力がなくて、将来の利得を犠牲にして

も素早く行動できるほうが、生き残っていくためには有利に働く場面もあるということ

を示しています。

 

 

●人生最後の時を過ごす患者たちの緩和ケアに携わった、あるオーストラリアの女性に

よれば、人間は死の間際になると自分の人生を振り返って後悔を口にするのだそうで

す。 ~中略~ 最も多かったものの1つが、「あんなに一生懸命働かなくてもよかっ

た」なのだそうです。 ~中略~ また、「もっと自分の気持ちを表す勇気を持てばよ

かった」「自分をもっと幸せにしてあげればよかった」というのもベスト5に入るそう

です。