佐野眞一「凡宰伝」その1
ナイスな比喩
私は歴史上の大英傑まで持ち出して褒めまくる鈴木(宗男)のゴマすりぶりに、すり鉢の
底が抜けるのでないかと心配になった。
ー 佐野眞一「凡宰伝」より
ナイスなエピソード
電話で最初にはじまるのは『すいません、すいません』ですよ。『すいません、すいま
せん、すいません』と三回いわれるときもある。それに話が短い。だらだらやってな
い。一回の電話がだいたい二、三分です。これはきわめて頭の整理ができている証拠で
す。 ~中略~ 小渕は電話口で、最初「恵三です」といい、相手がわからないでいる
と、「小渕です」とつづけ、最後に「総理の小渕恵三です」といったそうである。 ~
中略~ 「恵三です」からはじまって、最後に正体を明かす小渕のアプローチの段取り
に、この男は総理大臣を最高に楽しんでやっているな、と思った。
ー 佐野眞一「凡宰伝」より